#104 メインとサブ

 

キャップが似合う男になりたい。

 

はいどうも使えない奴です。

 

高校時代、僕が「姉さん」と呼んで敬愛していた方がいました。

姉さんは私服でキャップを被るボーイッシュな女性でした。

さらに陸上部でガンガン活躍するという凄さ。

これこそまさに、姉さん、にふさわしい。

 

たしかに姉さん姉さんと呼んでいましたが、実際喋ったことはあんまりありません。

しかも姉さんと呼び始めたのは僕の元カノで、その素晴らしいネーミングに影響されて呼び始めたのです。

つまり彼女が呼び始めたから僕も呼んでいた、ただそれだけです。

一時期、僕が姉さん姉さん言いすぎて怒られたこともありました。

僕の高校時代のパターンなんですが、クラスのある女子を可愛い可愛いと言って男子の中で話題にするのが多かったのです。

まあ言ってしまえばネタですよ。

そのおかげでみんなが姉さんって呼んだり、僕が姉さんに近づくように色々遊んだりとか。

それが笑いになっていたから僕も喜んでやっていたわけです。

 

まあ言霊というのは怖いものでして。

何度も人の名前を口にしているとそれが離れなくなるんですよね。

一時期は本気で好きになりかけたこともあります。

というか姉さんとは違う人で同じパターンで本気に好きになったことはあります。

 

ほんと怖いですよね。

初めはネタで、誰々が可愛い、と言って笑いを取っていたのに、いつの間にか本気でそう思っちゃうんですよね。

 

あれですよ。

好きな人がいると誰かに相談した瞬間、どんどん好きになってしまうあれですよ。

ありますよね。

 

ありますよね?

 

あるあるだと信じてますよ、僕は。

 

まあそんなわけで、そんな姉さんとはあまり喋ったことがないんですよね。

一年半同じクラスだったけど、喋ったのは数回で。

一回は僕が照れすぎて話にならなかったなんてこともありました。

あの頃の僕は馬鹿でした。

 

まあなんでいきなりそんな話をしたのかと言ったら、今日その姉さんとご飯に行くことになりまして。

姉さんの知り合い二人と僕の四人みたいです。

ちなみにその知り合い二人については全く知りません。

 

きっかけはひょんなことでして、姉さんからDMが来たんです。

ラップ好きで飲み会したいからどうですかと。

まあちょくちょくツイッターでラップの話をしたことがあったのでそれがきっかけだったんでしょう。

というわけでその知り合いの人たちもラップが好きな人たちみたいで。

そういう集まりに行くのは二回目ですが、変に知っている人がいるのは初めてです。

だから緊張しているわけです。

 

ただでさえ人との会話の仕方に悩んでいるのにいきなり知らない人が二人も来るなんて。

絶好の機会と言えばそうですが、まあ。

 

頑張ってこようか。

何か新しい出会いが……まあないか。

スーパーチキン野郎ですからね。

 

 

ああ、キャップが被りたいのは、姉さんに憧れて、みたいな感じです。

あとは、髪型がいっつも微妙なんで隠したいんです。

でもそういうファッションがよく分からないからな。

ちょっと研究してみようか。

そこまでやる気があればだけど。

 

ラップ好きと会話出来るなんてとても楽しみだ。

でも普通の会話をするのは怖いや!

冗談はあくまでサブだ。

メインは会話だ。

肝に銘じろ。

 

ってまあそれは夜の話です。

今からは学校に行って劇団の稽古です。

がんばるぜーい。